秋華賞を活躍した名馬|スイープトウショウ

秋華賞を活躍した名馬|スイープトウショウ

 ボディーも2強だ。鈴木康弘元調教師(72)がG1候補の馬体を診断する「達眼」。第21回秋華賞(16日、京都)では“牝鹿”ビッシュを桜花賞馬ジュエラーと共に満点評価した。牝鹿のような跳躍で紫苑Sを圧勝した鹿毛馬。達眼が捉えたのは420キロ前後の小さな体に宿る筋肉とバランスだ。

 琵琶湖の南端から京都に流れる瀬田川には「鹿跳(ししとび)」と名付けられた橋が架かっています。急流の川面に奇岩が顔をのぞかせる景勝地。昔、空海がこの川の対岸にまぶしく光り輝く霊木を発見したそうです。ところが、川の流れが速くて渡れません。立ち往生していると、1頭の鹿が現れました。空海を背中に乗せて奇岩を跳び、対岸へ渡し終えた途端に空へ消えていった。そんな言い伝えが鹿跳橋の由来だそうです。

 ビッシュ、フランス語で牝鹿と名付けられた秋華賞有力候補の姿を見て鹿跳の伝説を思い出しました。トモ(後肢)や胸前を包む柔らかい筋肉、均整が取れた前後肢。体重わずか420キロ程度の小さな体をいっぱいに伸ばして、切れとパワーを発揮できるのは四肢のバランスと筋肉の良さからです。ディープインパクト産駒らしいフットワーク、いや伝説の鹿を想像させる跳躍の源泉になっています。しかも、賢い顔をしている。聡明で意志の強そうな目、竹を割ったような耳。名鹿という言葉はないので名牝の馬相としておきます。

 オークス時の写真と比べてみると、立ち姿の変化に気付きます。オークスでは首を投げ出すような間延びした格好で立っていました。ところが今回は首を伸ばすことなく、自然体で大地を踏みしめています。3歳のひと夏を越して気性も成長したのでしょう。りりしい立ち姿です。休み明けを1度使ったことの反動も感じられません。小さい体なりに全身がフックラしています。

 あとは初の関西遠征を克服できるかでしょう。アゴが張っていないのでカイバを食べるのに時間がかかるはず。京都までの長距離輸送で体重を保てるかが最大の鍵になります。京都へ流れる瀬田川を軽々と跳んだ鹿のように輸送も乗り越えてもらいたい。急流の対岸にはまぶしく光り輝くタイトルが待っています。

 ◆鈴木 康弘 1944年(昭19)4月19日、東京生まれの71歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93~03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなどで27勝。

スイープトウショウ

父-エンドスウィープ、母父-ダンシングブレーヴ
suipu

スイープトウショウ重賞勝利

2003年 KBSファンタジーS
2004年 チューリップ賞・秋華賞
2005年 宝塚記念・エリザベス女王杯・京都大賞典

スイープトウショウ

やっぱり名牝だったのですね。
あの切れ味最高だった。